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SBC6000X エミュレータ

先日発売いたしました、組込みLinux開発用CPUボード SBC6000XQEMU でサポートしましたので公開します。

ベースにした QEMU のバージョンは 0.15.1 です。

SBC6000X エミュレータ
qemu-sbc6000x-0.15.1-pylone1.tar.bz2
ソースコード
0.15.1-pylone1ダウンロード4.6MB

概要

ARM926 は本家 QEMU でサポートされているため、同コア の SoC を搭載したプラットフォームがいくつかサポートされています。 しかし、同コアを使用した SBC6000X のマイクロプロセッサである AT91SAM9261 は今のところサポートされていません。

そこで、Linux の起動に必要となる周辺デバイスのエミュレーションを追加しました。

現状

SBC6000X 用 Linux が起動できる必要最小限のエミュレーションを目標にしたため、実機を完全にエミュレート出来るまでに至っていません。

クイックスタート

ホスト OS として Debian GNU/Linux Squeeze を例に説明します。

SBC6000X 用の Buildroot を用いたビルド にて環境一式が整っていることを前提とします (以降、SBC6000X 用 Buildroot のディレクトリを ~/buildroot-sbc6000x とします)。

現時点では、NAND デバイスをまだエミュレートできないため、ここでは、rootfs に NFS を使用します。 以下の設定を追加し、反映します (以降、NFS として export するディレクトリを /opt/sbc6000x とします)。

# vi /etc/exports
/opt/sbc6000x    127.0.0.1(rw,sync,subtree_check,no_root_squash,insecure)
# exportfs -a

次に、QEMU をビルドするためのライブラリ (開発版パッケージ) をインストールします。 既にインストール済みの場合は不要です。

# apt-get install libglib2.0-dev
# apt-get install zlib1g-dev
# apt-get install libsdl1.2-dev

最後に、ビルドして実行するまでの手順です。

$ mkdir ~/qemu-sbc6000x
$ cd ~/qemu-sbc6000x
$ wget http://downloads.pylone.jp/sbc6000x/src/qemu-sbc6000x-0.15.1-pylone1.tar.bz2
$ tar xjf qemu-sbc6000x-0.15.1-pylone1.tar.bz2
$ cd qemu-sbc6000x-0.15.1-pylone1
$ ./configure --target-list=arm-softmmu
$ make
$ ./arm-softmmu/qemu-system-arm \
      -M sbc6000x \
      -m 256 \
      -serial stdio \
      -kernel ~/buildroot-sbc6000x/output/images/uImage \
      -append "console=ttyS0 root=/dev/nfs rw nfsroot=10.0.2.2:/opt/sbc6000x ip=dhcp"

起動後にログイン可能なユーザーは "root"、または "default" (一般ユーザ) です (何れもパスワードはありません)。

終了するには、QEMU ウィンドウを閉じるか、起動した端末上で Ctrl-C を発行して QEMU を終了してください。

その他の詳しい使い方については SBC6000X エミュレータマニュアル を参照してください。

既知の問題点

起動中、まれに、

mmc0: host doesn't support card's voltages
mmc0: error -22 whilst initialising SDIO card
mmc0: host doesn't support card's voltages
mmc0: error -22 whilst initialising MMC card
mmc0: host doesn't support card's voltages
mmc0: error -22 whilst initialising SDIO card
mmc0: host doesn't support card's voltages
mmc0: error -22 whilst initialising MMC card

というタイミングで起動が停止してしまいますが、終了して再起動してみてください。

おわりに

QEMU に対して追加実装した部分の完成度はまだ低いですが、Linux の基本的な動作は確認できると思います。 SBC6000X のソフトウェアの検討や、組み込み Linux 開発の入門を目的とした使い方をしていただければ幸いです。

ドキュメント

クロス開発環境のRPMパッケージ (gcc-4.4)

クロス開発環境のDebianパッケージ (gcc-4.4)alien で変換したRPMパッケージを 公開します。

概要

クロス開発環境のDebianパッケージ (gcc-4.4) を参照してください。

対応状況

クロス開発環境のDebianパッケージ (gcc-4.4) を参照してください。

yumによるインストール (Fedora)

以下の内容で/etc/yum.repos.d/pylone-jp.repoを作成して、yumレポジトリを追加します。

[cross-toolchain]
name=Cross Toolchain
baseurl=http://downloads.pylone.jp/cross-toolchain/squeeze/rpm/
enabled=1
gpgcheck=0

必要なツールをインストールします。 TARGET-SUFFIX は arm-linux-gnueabi、mipsel-linux-gnu、sh4-linux-gnu、powerpc-linux-gnu の何れかに置き換えてください。

gcc-4.4
# yum install gcc-4.4-TARGET-SUFFIX-linux-gnu
g++-4.4
# yum install g++-4.4-TARGET-SUFFIX-linux-gnu
gdb
# yum install gdb-TARGET-SUFFIX-linux-gnu

依存関係について

alienによる変換ではパッケージ間の依存関係が一部われますが、本パッケージではspecファイルを修正して依存関係を追加しています。

更新履歴

  • 2010/11/22: 公開

クロス開発環境のDebianパッケージ (gcc-4.4)

社内で使っているクロス開発環境の Debian パッケージを公開します。

更新履歴

  • 2010/11/16: 公開
  • 2010/12/17: powerpcspeを追加

概要

  • ホストアーキテクチャ: i386
  • ターゲットアーキテクチャ: armel, mipsel, powerpc, sh4, powerpcspeNew!
  • コンパイラ: gcc-4.4, g++-4.4
  • ターゲットのlibc: testing (squeeze) の eglibc
  • biarch: 無効

基本的には (2010/11/11時点の) squeeze の binutils と gcc-4.4 を debian/README.cross 等の手順にそってビルドしたものですが、 依存するパッケージを調整するなどして、lenny にもインストールできるようにしてあります。

powerpcspe だけは sid/squeeze でないとインストールできません。

対応状況

gcc-4.4 g++-4.4
armel
mipsel
powerpc
powerpcspeNew!
sh4
  • ○:動作を確認済み
  • △:パッケージはあるが、まだ動作が確認できていないもの

インストール

sources.list (5) に以下の apt line を加えます。

deb http://downloads.pylone.jp/cross-toolchain/squeeze/deb ./

(まだ行っていなければ) pylone.jp の鍵を導入します。

# wget http://pylone.jp/pubkey.asc -O - | apt-key add -

パッケージ情報を更新します。

# apt-get update

必要なツールをインストールします。TARGET-SUFFIX は arm-linux-gnueabi, mipsel-linux-gnu, sh4-linux-gnu, powerpc-linux-gnu, powerpc-linux-gnuspe の何れかに置き換えてください。

gcc-4.4
# apt-get install gcc-4.4-TARGET-SUFFIX
g++-4.4
# apt-get install g++-4.4-TARGET-SUFFIX
gdb
# apt-get install gdb-TARGET-SUFFIX

リンク

PowerPCボードADS512101へのLinuxカーネルの移植

Freescale社製PowerPCボードADS512101へLinuxカーネルを移植する手順を紹介します。

Freescale社ではADS512101用のLinuxBSPを公開しており、ソースコードから環境を構築することが可能ですが、Linuxカーネルのバージョンが2.6.24と若干古いため、比較的新しいバージョンを移植することが目的です。

予め

  • PowerPC向けクロス開発ツール
  • tftpサーバ

をインストールした環境を前提とします。

尚、使用するU-Boot、及びLinuxカーネルのバージョンは以下のとおりです。

  • U-Boot 2009.1
  • Linuxカーネル 2.6.28

U-Bootのビルド

オフィシャルサイトからソースコードを取得し、展開します。

% wget ftp://ftp.denx.de/pub/u-boot/u-boot-2009.01.tar.bz2
% tar xjfv u-boot-2009.01.tar.bz2

ターゲットにADS5121を指定してビルドします。

% cd u-boot-2009.01
% make ads5121_config
% CROSS_COMPILE=powerpc-linux-gnu- make

Linuxカーネルのビルド

オフィシャルサイトからソースコードを取得し、展開します。

% wget http://www.kernel.org/pub/linux/kernel/v2.6/linux-2.6.28.tar.bz2
% tar xjfv linux-2.6.28.tar.bz2

ADS5121ボード用(v2.6.28向け)のパイロン製パッチを取得・適用します

% wget http://code.pylone.jp/hg/linux-2.6-ads5121-mq/raw-file/tip/ads5121
% cd linux-2.6.28
% patch -p1 < ../ads5121

カーネル設定ファイルを設置後、必要に応じて設定を変更しビルドします(デフォルトでU-Boot形式が生成されます)。

% cp arch/powerpc/configs/ads5121_defconfig .config
% ARCH=powerpc CROSS_COMPILE=powerpc-linux-gnu- make menuconfig
% ARCH=powerpc CROSS_COMPILE=powerpc-linux-gnu- make

デバイスツリーのビルド

デバイスツリーとは簡単に説明すると、

  • PowerPC/Linux固有の仕組みで、ボード依存のデバイス情報(I/Oアドレス等)を定義したもの
  • デバイスツリーを定義したソースファイル(*.dts)をコンパイラ(dtc)にてコンパイルしバイナリファイル(*.dtb)を得る
  • *.dtbファイルはLinuxカーネルイメージとは別にメモリ上に置かれ、Linuxカーネルはその内容からボードに関する各デバイス情報を把握する

といったものです。

デバイスツリーコンパイラはLinuxカーネルに含まれているため、以下の様にしてADS5121向けデバイスツリーソースをコンパイルします。

% cd (Linuxカーネルのディレクトリ)/arch/powerpc/boot
% ./dtc -O dtb -o ads5121.dtb dts/mpc5121ads.dts

Flash更新

tftpに備えて、これまで生成したバイナリファイルを、tftpサーバのディレクトリ(/srv/tftp/とします)にコピーしておきます。

# cp (U-Bootのディレクトリ)/u-boot.bin /srv/tftp/
# cp (Linuxカーネルのディレクトリ)/arch/powerpc/boot/uImage /srv/tftp/
# cp (Linuxカーネルのディレクトリ)/arch/powerpc/boot/ads5121.dtb /srv/tftp/

シリアルコンソールとしてシリアルクロスケーブルをHostPCとボードを接続します。通信設定は以下のとおりです。

ボーレート115200
ビット長8
フロー制御なし
ストップビット1

ボードの電源を投入後、SW1を押下しボード標準のU-Bootを起動します。このとき、

Hit any key to stop autoboot:  

のカウントダウンが開始されたらキャンセルします。

tftpに備え、必要に応じて環境変数を設定します。 (ここでは、tftpサーバとなるHostPCのIPアドレスを192.168.0.26、ボードのIPアドレスを192.168.0.120とします)

=> setenv netmask=255.255.255.0
=> setenv ipaddr=192.168.0.120
=> setenv serverip=192.168.0.26

先ほどビルドしたU-BootをFlashに書き込みます。FlashのI/O開始アドレスは 0xFC000000 で、内容は以下の様になっています。

アドレスセクタ番号内容
FC0000000Protected
FC0400001File system
FFC40000241Linux カーネル
FFEC0000251Device tree
FFF00000252U-Boot
FFF40000253U-Boot 環境変数

まず、更新するU-BootをRAM上のダウンロード領域(0x20000000)へダウンロードします。

=> tftp 2000000 u-boot.bin
Using FEC ETHERNET device
TFTP from server 192.168.0.26; our IP address is 192.168.0.120
Filename 'u-boot.bin'.
Load address: 0x2000000
Loading: ################################################
done
Bytes transferred = 241680 (3b010 hex)

そして、Flashのライトプロテクトを解除、該当のセクタを消去し、書き込みます。

=> protect off bank 1
=> erase 1:252-252
=> cp.b 2000000 fff00000 3b010

上記cpコマンドのサイズ(0x3b010)はtftpコマンドで実際に転送されたサイズを指定しています

Linuxカーネルを更新する場合も同様の手順になります。

=> tftp 2000000 uImage
=> protect off bank 1
=> erase 1:241-250
=> cp.b 2000000 FFC40000 <size>

FlashのライトプロテクトはU-Boot更新時に解除していますので続けて更新する場合は不要です。

デバイスファイルも同様の手順です。

=> tftp 2000000 mpc5121ads.dtb
=> protect off bank 1
=> erase 1:251-251
=> cp.b 2000000 FFEC0000 <size>

起動

ボード標準のU-Boot起動コマンドでFlash上のrootfsから起動するには以下の様にします。

=> run jffs2boot

カーネルコマンドラインを指定して起動する場合は以下の様にします

=> set bootargs console=ttyPSC0,115200 root=/dev/mtdblock1 rw rootfstype=jffs2 mem=256M
=> bootm ffc40000 - ffec0000

bootmコマンドの引数はそれぞれ、

  • ffc40000 : カーネルのアドレス
  • - : initial ramdiskのアドレス(未使用なので省略を示す'-')
  • ffec0000 : デバイスツリーのアドレス

と言う意味になります。

Flashを更新せずにRAMから起動する場合

デバッグ段階などで、Linuxカーネルやデバイスツリーを頻繁に更新するようなケースで、毎回Flashに書き込みをしていては非効率です。そこで両ファイルをFlashに書き込まずにRAMから起動する場合は以下の様にします。

=> tftp 2000000 uImage
=> tftp 3000000 ads5121.dtb
=> set bootargs console=ttyPSC0,115200 root=/dev/mtdblock1 rw rootfstype=jffs2 mem=256M
=> bootm 2000000 - 3000000

または、Flash上のデバイスツリーファイルを使用する場合は、最後のbootmコマンドのデバイスツリーファイルのアドレスを、

=> bootm 2000000 - ffec0000

とします。

jffs2イメージをloopback mount

block2mtdドライバを使えば、jffs2イメージファイルをloopbackでmountできます。

erasesize 128K (131072) のrootfs.jffs2を/mntにmountする場合

mount:

# modprobe jffs2
# modprobe mtdblock
# losetup /dev/loop0 rootfs.jffs2
# modprobe block2mtd block2mtd=/dev/loop0,131072
# mount -t jffs2 -o ro /dev/mtdblock0 /mnt

umount:

# umount /mnt
# rmmod block2mtd
# losetup -d /dev/loop0